古文で読む『源氏物語』感想23. 葵 Ⅲ 〜 プロポーズされて断った相手の息子と恋仲に…

本日のあらすじ

源氏や左大臣が参内している間に、葵上はまた物の怪に憑かれ急死してしまう。葵上の美しさを見直していた源氏は悲しみに出家心まで起きるが、生まれたばかりの息子や自分が保護している紫の上のために思いとどまる。六条御息所は源氏の手紙のほのめかしから、自らが生霊となったことを源氏に知られたと悟り苦しむ。

1.妻が亡くなれば薄墨色

葵上が亡くなる日に、参内する源氏をいつになくじっと見つめる場面がありました。寝込んだままの妻を見舞いながら、間近で接する葵上がこんなに美しい人だったとはと改めて思う源氏だっただけに、…あとおそらくこれまで冷たい仲だったのを放っておいたことへの罪悪感もあってガックリ来てしまったよう。

喪服として薄墨色の衣装を着るのですが、「もし亡くなったのが自分のほうだったら、葵上は濃い墨色の衣装をお召しになるんだな」としみじみ。

どういうことかというと、妻が亡くなった場合夫が喪に服す期間は3ヶ月、喪服は薄墨色と決まっているのに対して、夫が亡くなった妻の場合は1年喪に服し、濃い墨色の喪服を着る決まりだったそう。おおっと…

なんとなく平安時代、平安貴族社会では女性が大切にされていたイメージがありましたが、それも戦国時代とかに比べりゃまだ…ってことに過ぎないんですね。

一夫多妻って時点で、さらに源氏の女性との関係の始め方を見るにも薄々(いや色濃く)分かっちゃいましたが、こうして露骨に「命」で差をつけられるのを前にしては…

ただ源氏としても、そんな決まりがなければ自分も濃い墨色の衣を…との気持ちを歌にしています。

限りあれば薄墨衣あさけれど 涙ぞ袖をふちとなしける

「限りあれば」は「決まりがあるから」。「ふち」は「藤」、藤衣と言って、濃い喪服を指すそうです。

2.六条御息所と桐壺院、そんな過去が…

生霊を飛ばしたこと(好きでやってたんじゃないけど)を源氏に知られた、と知った六条御息所。恥さらしも極まったと感じます。

六条御息所は源氏の父である桐壺院の弟の妻でした。桐壺院が帝だった時、弟が春宮。次の帝になる予定だったんですね。(この「葵」の時点でも朱雀帝の弟が春宮。)

しかし弟は亡くなって、御息所は宮中を去ることになるのですが、その際桐壺帝(当時)が引き止めていたそうです。今度は私の(ワンノブ)妃にと誘っていたらしい。

御息所は「いとあるまじきこと」と固辞して去るのですが、夫が亡くなったばかりだからあるまじきことなのか、相手が夫の兄だからあるまじきことなのか…両方かな。であるまじきプロポーズをつっぱねてから幾星霜、まさかその相手の息子と恋仲になってもつれてこんなことになるとは。。。

六条御息所を主人公にしたらものすご面白いドラマができそうです…。マジ観たい。

3.まだ未練があるのかよ!

しかしその源氏との仲ももう…

源氏が出家心を起こしたのは、葵上の死が辛いこともありますが、御息所が生霊になって葵上をとり殺したことを知り、恋愛一般が、ひいては世の中が厭になってしまったからです。

それは分かる。

んだけど?

現在、御息所は娘・斎宮と共に「野宮(ののみや)」(嵯峨野にあって、伊勢に移る前の仮の宿)に暮らしていますが、風流な彼女の暮らしぶりに殿上人の訪問が絶えず…要は人気者なんですね彼女。で、源氏はその様子を知るにつけてもやはり「御息所と切れるのは惜しい…」と葛藤しています。

いや懲りろ。

でもこうして、一度関係を持ったらいつまでも相手を忘れないのが源氏のいいところなんですってさ知らんけど。

次回も「葵」続きます。