古文で読む『源氏物語』感想19.紅葉賀 Ⅲ 〜37歳差か…

本日のあらすじ

上級女官・源典侍(げんのないしのすけ)は57、8歳にしてまだまだ恋多き女性。ちょっと興味を持った源氏が戯れに声をかけて微妙に関係が始まると、源氏に対抗心を持つ頭中将も彼女に近づく。源氏が彼女の傍で寝ている夜、頭中将が源氏を驚かしてやろうと正体を隠して忍び入る。年配の別の恋人が来たかと思い下着姿で隠れる源氏、声もなく怒ったフリして刀を抜いてガタガタ騒ぐ頭中将、修羅場は慣れっこだけど源氏が怪我しやしないかとオロオロする源典侍。服を着るのも邪魔されながら、源氏は相手が頭中将と見破り、お前も脱げやと頭中将の帯を奪って取っ組み合い、二人してみっともない姿で退散。後日奪い合った直衣の袖と帯を返し合い、イヤミの応酬をする。

藤壺の女御が春宮の母である弘徽殿女御を差し置いての立后となる。藤壺の息子を次期春宮にするため、母親を中宮にして強い後ろ盾にしようとの帝の思惑。弘徽殿女御に対しては「私が退位して今の春宮が帝になれば、間違いなくあなたが后(皇太后)になられるのだから堪えてくだされ」となだめる帝。源氏は宰相(参議)に昇進。

1.なんで始まっちゃったのかよく分からない関係

「年いたう老たる内侍のすけ」…と言われて幾つかなと思ったら57、8。まあ当時なら「お元気の秘訣は?」とか聞かれる歳かもしれません。まして恋愛する歳じゃないでしょうね…しかし本人の気持ちは余裕で現役。源氏も「一体どう言う神経してるのかしら…」と気になっているうちについ声をかけてふざけてたら相手は真に受けて恋人認定と言う流れ。

琵琶が上手で声も美しい源典侍。源氏は逆に年齢に合わない美声が「なんかヤダ」と感じるんですが…見ればイライラしちゃうのについ素通りできない相手のようです。わからなくもない(笑)

さて日頃から源氏に明るい対抗心を燃やしている頭中将も負けじと(?)続きます。源典侍のほうは現在源氏が本命なんですが、源氏はのらりくらりと関係を避けてつれない。近づいてきた頭中将をその代わりにして心を慰めるつもりのようです。

「末摘花」に登場する大輔の命婦も恋多き女官でしたが、ひょっとして源典侍は大輔の命婦の未来図なのか…?

2.調子こいた源氏にうってつけの頭中将の対抗心

注釈によるとこの時二十歳くらいの頭中将と源氏は従兄弟同士。頭中将と葵上の母は桐壺帝の妹だそうです。葵上と源氏も従姉弟同士ですね。頭中将は皇女の母と有力な左大臣の父の間に生まれて大切に大切に育てられ、葵上もそうですかかなりプライドが高い。源氏と自分の差は帝の子かどうかだけで、自分がどれほど劣るというのかと。

一方源氏以外の皇子たちさえ(春宮はともかく)、帝からことさら可愛がられている源氏には遠慮がちだそう。源氏がどこまでも調子こいてしまうわけです。実は頭中将ってそんな源氏に唯一ぶつかってきて自重を促してくれる、ありがたい存在なのかも。

3.源氏、一巻で二度目の昇進

この「紅葉賀」のはじめのほうで美しすぎる舞を見せて昇進した源氏、終わりのほうでさらに昇進して宰相(参議)に。どのくらい偉いのか正確に知りませんがかなり偉そうだな。立后した藤壺の最初の参内にお供しながら、ますます自分から遠い存在となってしまった藤壺を想って切ながる源氏でした。

次回は「花宴(はなのえん)」です。