古文で読む『源氏物語』感想18.紅葉賀 Ⅱ 〜美形はみんな同じ顔

本日のあらすじ

帝も源氏もそろって藤壺の赤ちゃんを見たがるが、あまりにも源氏に瓜二つの子ゆえに、源氏との関係が露見しないかと藤壺は恐れる。母子で宮中に戻ると、帝は若宮の顔を見て「美形はみんな同じ顔してるもんだなあ」と納得。源氏は若宮を可愛がる帝を前にうれしいやら畏れ多いやら複雑な心境。紫の上は才気が出始める。源氏が琴を教えると覚えも早い。源氏が紫の上に引き止められて外出できなくなることがしばしばあり、そのことが左大臣邸の葵上にも、ついに帝の耳にも及び、源氏は帝から「左大臣を嘆かせるんじゃないよ」と叱られる。

1.藤壺、そんなに心配しなくても…

若宮が源氏にヤバイくらい似ていてヤバイと心配する藤壺ですが、そもそも帝と源氏は父子関係にあるし、源氏の母と藤壺は顔がよく似ている(それゆえ入内させられた)という話ですし、「あら〜お兄ちゃんが赤ちゃんだった時にそっくり♬」なんてよくある話で、そんなにビクビクせんでもいいのでは…と思うのは外野だからですね。

やましいと感じている当人にはどんなにか恐ろしく感じられることか…!

そう考えると、今のところ詳しく触れられていない藤壺と源氏の密会が、藤壺の本意ではなかったことがよくよく窺えます。源氏はそんな形でしか女性と関係を持てないのか。それが愛と言えるのか…

あと、源氏を藤壺の元に手引きしたのは藤壺付きの女房、王命婦(おうみょうぶ)ですが、元は藤壺から目をかけられていたのにその後藤壺から疎んじられるようになったと書かれていて。

ますます藤壺の意思(源氏を好きであったとしても、関係を持つ気はなかった)に反していたのではないかと思えてならない…末摘花と大輔の命婦を思い出します。女性同士が信頼し合えないやりきれなさを改めて。。

あるいは王命婦は、藤壺の「本心」を“忖度”して源氏を手引きしたのでしょうか。というのも、王命婦は藤壺から疎んじられる(表向き辛く当たられるようなことはないけれど、なんとなくもう信頼されてないと感じられる)件を心外に思っているようだし。どうなんでしょう…

2.「美形は同じ顔」で納得

それだけ心配している藤壺ですが、帝のほうは「また並びなきどちは、げにに通ひ給へるにこそはと思ほしけり」。源氏と若宮と、比類ない同士ってのはなるほど似ているものだなあと納得してしまいました。そっちか。

漫画とかでよく、美形がみんな同じ顔してる件を連想しますね。

3.いつの間にか紫の上が大人びる

これまで人形遊びばかりして子どもっぽいと作者も呆れるように書いていた紫の上が、急に源氏との言葉のやり取りに歌を引用したり、袖で口を覆ったりと大人びてきました。

「口おほひ」と言って袖で口元を隠すのは恥じらいの仕草だそうで(感覚的にわかる)、ここでは紫の上のこの仕草が洒落て美しいと書かれています。しかし実は末摘花も「口おほひ」をやっていて、そこでは「野暮で古めかしい」と評されていて…正反対やないか。大人がやるからなんでしょうか、それとも仕草の微妙な匙加減があるのでしょうか…

4.帝に叱られる源氏

紫の上が、一緒に遊んでいる源氏が出かけるのを悲しむため、源氏が外出を取りやめます。そんなことが何度かあるため、葵上の耳にも女房から「多分宮中で出会った女を囲っているのでしょう、外出を引き止めたりして幼稚な女のようですわ」と真偽の微妙な情報が。

帝の耳にも入ったようで、源氏は叱られます。「あんなに世話してきてくれた左大臣(源氏の舅、葵上の父)を嘆かせるなんて分別なさすぎじゃないの」と。前回の、左大臣から源氏への甲斐甲斐しいお世話描写はこのためか…

一方で帝は、源氏が葵上の気が合わないのだろうな…と源氏をかわいそうに思ったりもするのですが、「あの子そんなに好色だったっけ?宮中の女房と噂になってるようなことはないけれど…」

確かに「末摘花」に登場した美人で恋多きの大輔の命婦とも「似たもの同士のいい友達」みたいな関係ですし、女官(勤務中の女性)に迫るほど好色バカじゃないのかとも思えますが…

次回、どうも女官と関係しそう…「紅葉賀」続きます。