古文で読む『源氏物語』感想12.若紫 Ⅳ 〜実際どっちがマシなんだろう…

本日のあらすじ

故尼君の屋敷に泊まり、「番人代わりに」と紫の上と共寝する源氏。乳母や侍女たちは心苦しがり、紫の上も恐ろしがる。まるで結婚の段取りだが、翌朝後朝の文の代わりに絵を送り、3夜通うべきところを2日目、3日目の夜は「内裏の呼び出しがあって」「差し障りがあって」と代わりに惟光を遣わして番をさせる。その日の昼には父・兵部卿の宮が訪ねて来る、紫の上が父親である自分を恋しがるのを見て涙ぐみ、近いうちに紫の上を自邸に引き取ろうと言う。それを聞きつけた源氏は、やはり紫の上を二条院に迎えようと思う。

1.ルール違反の連続

源氏がおかしい…元からちょっとおかしいですが特におかしくなってます。まだ子どもの紫の上と一緒に寝たり(これが当時でも非常識なのは周囲の反応でわかるんですが)、そうして擬似的に結婚したかのように振る舞いながら、3夜連続で通って結婚成立、というルールには乗らず、結婚したいんだかなんなんだか中途半端。

ちなみに前回話が出た『落窪物語』の男君は3夜目、さすがにこれは通えなくても仕方ないと思われる暴風雨の中をぐっちゃぐちゃになって落窪の君の元に参上、義理を果たします。

擬似的な結婚、当然肉体関係はまだないのですが、それにしてもこれは児童婚の様相。紫の上はまだよく知らない大人の男が寝所に入って来て怖がっているし、乳母や侍女たちも「なんじゃそりゃ」と止めたいけれど源氏の身分ゆえか、言い出せない。空蝉以来の横暴が発揮されてます。正直…

胸クソ悪いわッ!

2.父・兵部卿の宮登場

さて登場前は無責任な印象だった兵部卿の宮が登場。源氏が泊まって行った翌日昼に紫の上を訪ねてきます。

あれ…そんな冷たい父親でもなさそう。紫の上も懐いているし。

「お父さんがいるから心細がることはないんですよ、私の屋敷は広いし、他の子どもたちもいるから一緒に遊んで過ごしなさい」と。

それなら児童婚よりずっといいかも…しかし、乳母の小納言は「まあまあそう急がずに」と、その展開は避けたい様子。むしろ非常識なやつでも源氏に引き取られる方がマシだと考えているみたいです。

確かに…紫の上が懐いていようと口では気遣ったようなこと言っていようと、紫の上の母が北の方によってストレス死するのを止められなかったのは事実…その北の方が女主人である屋敷に引き取られて、いじめられてもこの父親は庇えるのか?小納言は騙されないようです。

3.なんかそれ依存症っぽくね?

ところで紫の上と一緒に寝て、夜のうちに起きて退出した源氏ですが(暗いうちに男が出て行くこの行動パターンが恋人関係っぽいらしい。そして翌朝、後朝(きぬぎぬ)の文を送るのがルール)、恋人っぽいけど当然肉体関係は持っていないので「なんか中途半端…」と寂しくなって、家に帰る途中、通い先の一つに寄ろうとします。

家の前で作った和歌をイイ声してるお供の者に歌わせて(2度。役所の放送みたいだな)「寄りたいな〜」と伝えるんですが、下女が出てきて「寄りたきゃ入ってこい、その気もないくせに」と返歌を伝え、不首尾に終わります。

思い出したのがアルコール依存症の方のお話で、酒をやめている間いわゆるノンアル飲料(酒のようだけど酒じゃない)を飲んだら、中途半端な感じが寂しくかえって飲みたくてたまらなくなり本物のアルコールに手を出してしまった、という話…

源氏のこれは恋愛依存か性依存か… 身分ゆえに許されているとはいえ、反社会的な行動を取っているところも病気めいてる気がしてきました。

さあて、次回こそ「若紫」最後か?父宮のほうも紫の上の引き取りを急いでいます。のんびりしていてよいのか源氏?(どっちがよいのかもう、よくわからないけど…)

コメントを残す