古文で読む『源氏物語』感想8.夕顔 Ⅲ 〜悲しくて落馬しそう

本日のあらすじ

夕顔が亡くなった翌日、頭中将が内裏の遣いとして二条院にやってくる。とても本当の事は伝えられず、動揺する源氏。頭中将が退出すると、源氏は亡骸にもう一目会いたいと、こっそり山寺を訪れる、夕顔の乳姉妹だった右近には二条院で暮らすように申し出る。右近から夕顔の素性を聞く。やはり頭中将の元恋人で、頭中将の正妻の実家から脅され、逃げて身を隠していた。一昨年生まれた娘は右京にある夕顔の乳母(右近の母とは別人)の元にいる。その子を引き取りたいとする源氏。右近も賛成するが、事情があって右京に言い出せないまま。

空蝉と軒端荻とそれぞれ便りを交わす。空蝉は伊予介とともに地方へ。源氏は餞別の品々の中に例の脱ぎ捨てられた衣を混じらせ、空蝉に返す。

1.「桐壺」の繰り返しのようでいて

身分違いの夕顔の死にただならぬ悲しみようの(悲しすぎて、山寺へ夕顔の亡骸に会いに行った帰り落馬しかける)源氏。惟光なんかは「そんなに?!」てな反応を見せますが、この感じは桐壺の更衣亡き後の帝のようです。自分が父親ではないものの遺児(後の玉鬘)がある点も。

ただ本編の主人公だけに?桐壺の描写よりもぐっと人物に寄っている感じです。亡き人を想うばかりでなく、元恋人へのやましさやら、人に知られるのを恐れる気持ちやら、遺された親しい人(右近)を気遣う思いやら…要はリアル。

2.「雨夜の品定め」の続きが興醒め

夕顔と姉妹のように親しくしていた右近が悲しんで後を追おうとする様なんかが気の毒で、その後二条院に来てどうにか馴染んでいったのはよかった、としみじみしていたところで、源氏がなぜか

「やっぱ女は危なっかしいくらい柔順なのがいいわ」

とか右近相手に「雨夜の品定め」の続きをぶちまかすのがメチャ興醒め。

右近は、夕顔がドンピシャでそういう人だったから、源氏の好みの人だったのに亡くなってしまってなお残念…と涙を添えるのですが

いや、だから亡くなったんじゃないですか。変な人気のない屋敷に連れ出されて女の霊にとり殺されたのだから…

3.女の霊の正体が…??

さてその、夕顔をとり殺した霊。源氏がふたたびその霊を夢に見て、理屈はよく分からないながら「あの屋敷に住みついていた死霊」と断定します。

あれ、六条御息所の生霊ではない…?

その辺はまだ注意して読み進めましょう。

4.空蝉との別れ

「雨夜の品定め」がまた出てきた、と思ったらつられて空蝉も登場。なぜか空蝉から源氏にお便りが来ます。

源氏が夕顔の死でガックリ病気がちになったため、お見舞いの手紙みたいな感じですか(まだ京にいるんですね。源氏が引きこもってる件は多分小君から空蝉の耳に)。遠隔で意思疎通する分にはよいと。。

その空蝉の手紙で思い出したかのように、源氏は軒端荻にお便りします。そこに添えられた歌が

ほのかにも軒端の荻を結ばずは露のかことを何にかけまし

「私たち結ばれたよね」的な?今さら後朝の文か?

っていうか軒端荻今は夫がいるんですが(同居はしていないにしろ)、後朝の文を送るべき時にルール違反して送らず、夫ができちゃった今になってこんな危なっかしい歌を送るとは…

ってか紫式部も突っ込んでます。「“夫が見つけたとしても私光源氏だから許してくれるっしょ⭐︎”なんて調子こいてるわ、やれやれ」と。

とにかくこの歌が「軒端荻」の名前の由来だったようです。

さて伊予の介と地方へ赴く空蝉に餞別の品々を贈る源氏ですが(表立っては伊予の介に、これご家族にどうぞ〜ってな感じでしょうか)、空蝉が脱ぎ捨てて逃げた衣も一緒に返します。

夕顔とは死別し、遠地へ旅立つ空蝉のことも諦め、フリーになった感で「夕顔」の巻はおしまい。(正妻いるし六条も、あとまだ片想い中の藤壺もいるんだけど)

次回から「若紫」の巻です。

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