古文で読む『源氏物語』感想6.夕顔 I 〜ハートウォーミンな始まり

本日のあらすじ

六条の御息所(みやすどころ)のもとに通っていた頃、病気の乳母を見舞う源氏。その界隈で粗末ながらしゃれた家の垣根に咲く夕顔を見つけ、一房もらうことに。家の主人が扇に載せてくれる。扇には歌が書きつけられており、この主人が頭中将の元恋人だった常夏の君ではと考えた源氏、彼女に近づこうとする。空蝉の夫、伊予の介が上京し源氏のもとに参上、その後空蝉を伴い地方に移る。軒端荻は京に残り、夫を迎えたらしい。

1.空蝉続報

源氏があちこち女性のもとに通いながらも空蝉を忘れられないのは、ひとえに彼女がモノにならないから…と露骨に書かれています。もしモノになったなら、

「ごめんごめん、一夜の過ち☆」

で忘れられようものを…とか言っちゃって気持ち悪い。相手を大事に思っているのでは全くなく、ただゲーム感覚で執着してるわけで。ストーカーとかこういう心理なんだろうな…

そして軒端荻については、連絡したくなくもないけど空蝉が冷淡な顔でその様子を見るさまを想像するだに…というわけで捨て置き。

妻も娘も襲われた伊予の介は(たぶん)何も知らず源氏の元へ参上(何か業務上の用向き)。実際会ってみると、老けてはいても意外とイケメンなようです。実直な大人の男を前になんとなくきまり悪い源氏。この夫を思うとちょっと哀れにも思えたりして…っていや、女性二人、当人たちに申し訳なく思っとけよと。

空蝉に関しては源氏への心証ダダ下がりです。

2.夕顔との始まりはぐっとハートウォーミング

空蝉事件(もう事件だろ)のきっかけがほぼ押し入りだったのに対し、これから始まる夕顔とのきっかけは乳母のお見舞い。

今は尼となったこの乳母の家を訪ね、乳母の息子たち(その一人が惟光・これみつ、源氏の従者)、娘たち、婿が同席するなか涙ぐみながら優しく語り合う源氏。ちょっと株が上がります。

空蝉が「中の品」に位置するのに対し、夕顔の家は「下の下」と評されるのですが…それでも侍女がいたりするんですけどね。「雨夜の品定め」で言われる上中下ってのもごく狭い貴族社会での話のよう。

また空蝉に関しては「事件」だったのに対して…

夕顔は女のほうから手紙を渡しています。ただの挨拶とも取れるんですが…源氏はラブレターと取って返信(注釈に、女の挨拶を男が脈アリと故意に曲解してことを進めようとするのは常套手段とありましたが…既視感あるな。セクハラ案件で。

夕顔が手紙を渡す前に、牛車の窓から源氏が顔を覗かせていたんですね。男の顔を見て、気に入って、向こうから花を一房くださいと言って(働きかけて)きたのをチャンスに手紙を渡す。

「空蝉」とうってかわって健全だ…

まあ源氏、愛人数名の妻帯者だけどな。

この比較的健全な恋がどんな終わりを迎えるか…ああ、そうなってしまうからこそ始まりが清々しいのか、、というのは次回以降。

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