古文で読む『源氏物語』感想 3. 帚木 Ⅰ 〜左馬頭の語りがわりとどうでもいい

今日から「帚木(ははきぎ)」の巻に入ります。巻名は巻の最後のほうで源氏が詠む歌から。

本日のあらすじ

源氏は近衛中将として(年齢はわからないがまだ若造でしょう)宮殿に宿直中。友達で妻・葵上の兄弟である頭中将(とうのちゅうじょう)がやってきて女性の話をしているうちに、左馬頭(ひだりのうまのかみ)、藤式部丞(とうしきぶのじょう)も加わる。長雨の中男四人で女性についてああだこうだ語る。

1.「閲覧注意」雨夜の品定め

いわゆる「雨夜の品定め」。ホモソーシャル感いっぱいのメンズトークですが、これを創作しているのは女性である紫式部というのがねじれてる。

話の前に作者が「いと聞きにくき(聞き苦しい)事多かり」とことわっているのは今でいう「閲覧注意」でしょうか。

源氏の読者の多くは女性だったと聞きますから、その辺の配慮?しかし逆に、なぜそんな聞き苦しい語り(主に左馬頭の)を長々書いているのか謎です。

左馬頭の話の何が聞き苦しいって、「女は男の浮気を許すべし、騒ぎ立てて男を困らすな」が主訴(?)な点。そのくせ自分が浮気されると傷つくし(騒ぎ立てずに別れるのは感心といえるかも?)、「男に問題あるからって家出とかする女ヤダ」と言いながら自分は喧嘩して指に噛み付いてきた女に対し「出家してやる」(!)と騒いでるし。

こういうオッサン政治家の失言みたいな論を源氏に言わせないのはそりゃ当然として(そんな主人公、今後読者が感情移入できなくなる)、この場面にしか登場しない端役中の端役・左馬頭に語らせるのあたりからも、表向き一夫多妻が当然とされていた時代にあっても、少なくとも紫式部はそれを心から当然と受け入れていたわけではないんだなと思わせます。

…それどころか左馬頭の発言に対しては当時の読者の舌打ちが聞こえてきそう(笑)

2. 姉も「いもうと」

展開が速かった「桐壺」に続く「帚木」はいきなりこの「雨夜の品定め」で激しくペースダウン、しかも左馬頭の言い草が片腹痛くて実際の分量以上に長く感じ、正直退屈するんですが…

なんで面白くなりそうなところで展開をストップさせるような挿話を入れたのか(左馬頭の女性遍歴とか誰も関心なさそうだし)本当に謎ですね…それともこういうのが面白く読まれたんでしょうか。今でいう女性への「モテ指南」的な?

最初に頭中将が「中くらいの身分にもたまにいい女がいる」的なことを語り、源氏が「じゃ中くらい行ってみるか」と応答すると「何言ってんだ」と苦々しがります。姉妹の夫に浮気を勧めた形になってしまうので。

ところで漫画『あさきゆめみし』(大和和紀)の影響で頭中将は葵上の兄(で金髪)と思い込んでいましたが、実際は兄か弟か不明だそう。

古語の「いもうと」は男性からみた姉妹のことで、姉のことも「いもうと」と呼ぶそうです。じゃ女性からみた妹は?古語辞典をみたら「おとうと」だそうな。紛らわし…

心理的にも長い「雨夜の品定め」はまだ続きます。次回は頭中将の語りから。

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